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3・11東日本大震災10周年を迎えて
by.CGNTV
hit 199 recomend 98 2021-03-02 14:40:52

3・11東日本大震災10周年を迎えて

 

 

峯野龍弘 ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会 主管牧師

 

 

2011年3月11日午後2時46分、突然東日本を襲った未曽有の大地震と大津波、そして福島第一原子力発電所爆発事故による脅威は、想像を絶するものがありました。その衝撃は、数日にして日本国内はもとより、全世界の人々を驚かせ、その後全世界各地から膨大な救援と見舞いが次々と寄せられました。

ちなみにあの日、震源地から400キロ以上離れた筆者の住む東京も震度5を観測しました。都心でも高層ビルは大揺れし、電車は止まり、各所で停電が起こり、道路は渋滞し、多くの人々が通勤先から家に戻れず、帰宅難民となって一夜を過ごしました。その時の被災地の被害状況は、死者・行方不明者は約1万9千人、重軽傷者は約6万人、全半壊建物は約5万2千戸、避難所避難者は約47万人に及びました。原発事故の起こった福島県では、県外に避難した方が約3万人もいました。その内でも放射線量が高いため町村民の全員が避難したところもあり、いくつかの町や村は完全に無人化しました。しかも、10年経った今でもほとんどそこに戻ることが出来ないままです。

筆者は事の重大さを思い、直ちに災害支援緊急援助隊「アガペーCGN」(アガペー・クリスチャン・グローバル・ネットワーク)を自らの牧会する淀橋教会の中に立ち上げ、同じく自らが責任を持っていた「日本CGNTV局」とタイアップして、緊急支援活動と現地取材に着手しました。そして更に宮城県塩釜市と岩手県一関市の2か所に現地事務所を開設し、そこを中継所として活動すると共に、何よりも「祈りの支援」活動が不可欠であることを強く認識し、有志の諸教職と共に「東日本大震災3・11復興支援超教派一致祈祷会」を立ち上げました。これは、震災発生の翌月2011年4月以降、今日に至るまで毎月11日に、淀橋教会を会場として超教派の教職信徒が集い、毎回著名ミュージシャンのボランティア讃美演奏の後、被災地から現地報告者と奨励者を招き、直近の生の現地情報を聞き、その後、心合わせて熱心な祷告を献げるものです。この度の新型コロナ・ウイルスの脅威下にあっても、この祈祷会は毎月絶やすことなく続けられています。

それからはや10年、現地の状況はどのようになったのでしょうか。残念ながら、いまだに復興とは程遠い状況にあります。最も被害の大きかった津波の直撃した広範囲の多くの被災地では、町中が倒壊・流出し、莫大な予算を掛けて整地し、堤防を築き直し、土地を嵩上げし、復興住宅を建て、資金力のある一部の人々は自前で新しく住宅を立て直したり、失われた漁船を買い直したりしていますが、それらはいずれも、全体のごく一部に過ぎず、以前にあった懐かしい街並みや家並みを取り戻すには、程遠いものがあります。何よりも、復興の遅れのため長い間寄留先にいた人々は、戻ってみても地域全体の生活環境は整っておらず、働く場もなく、高齢者は今更借金を抱えて住宅を再建する意欲もなく、それ以上に国や地方公共団体の取り組みは、時間と共に弱体化し、風化しつつあります。直後数年は、日本各地及び世界各地から多くのボランティアが駆け付け、奉仕してくれていましたが、今ではそれもほとんどなく、復興住宅に入居したおもに高齢者たちは一人暮らしが多く、その中からは孤独死する人々、自死する人々が年々増加しています。

そうした中にあって、少数ではありますが現地教会の中で教会を拠点として、被災地域のこうした助けを要する人々のために“キリストの愛”に固く立ち、愛と祈りと献身的労苦をもって、自前で支援活動を続けている素晴らしい教会と教職・信徒方がおられます。これらの存在はまさに“砂漠のオアシス”のように、地域住民に慰めと癒し、平安と希望、新たな生きる喜びと力を与えています。福音の宣教という構えではなく、ただひたすら悲しみ、苦しみ、悩む被災者の心に寄り添い、何一つ彼らからの見返りを望まず、与え、仕え続ける献身的な愛の奉仕をしてこられました。その訪問と交わり、支援と語らいを待ち望む人々の中から、自ら進んで礼拝に参加し、受洗する人々が年々増加しています。のみならず、このような人々の中から、自らが愛する家族や家屋・仕事等を失う悲しみの中にあったにもかかわらず、今や教会の愛の奉仕者の一員となって奉仕する人々が誕生しています。それゆえ、昔から古い因習の強かったこの地方においては、蔑視され、敬遠されてきたキリスト教会が、いまや信頼と尊敬をもって誰にでも受け入れられるようになってきています。何という幸いなことでしょう。

こうした良きモデルのゆえに、その後、日本各地を襲った災害地域では、その模範に倣って、当該地域に“キリスト者災害支援ネットワーク”が開設されるようになっています。何という素晴らしい“愛の働きの実り”ではありませんか。ハレルヤ!

 

峯野龍弘

日本大学法学部法律学科、東京聖書学校卒業。米国アズベリー神学校、韓国トーチ・トリニティ神学大学より名誉神学博士号授与。日本基督教団桜ヶ丘教会にて牧会。1968年よりウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会およびブランチ教会を司る主管牧師。

 

 

本文は、『リビングライフ STORY 2021年3月』 (Duranno書院)より、抜粋したものです。

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