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主の香りを放つ者となる
by.CGNTV
hit 1264 recomend 125 2020-03-09 17:06:24

主の香りを放つ者となる

 

 

栄子・スティーブンス オメガ・ジャパン 代表

 

 

高価なナルドの香油

イエス様と弟子たちの最後の晩餐(過越の祭り)が近づいた頃、あるパリサイ人がイエス様を自宅に招きました。そこにイエス様の友人ラザロの姉妹マリア(ヨハ 11:2参照)が訪れ、石膏のつぼを割り、惜しみなくイエス様の足に香油を注ぎ、塗り広げました。この香油は大変高価な「ナルドの香油」でした。

ナルドの香油は、英語でスパイクナードと呼ばれ、オミナエシ科の植物の根から取れます。海抜3300~5100メートルのヒマラヤやチベットの高山地帯に生える多年生植物で、寒い土地にしっかり根を張って生きているため、効力の高い香油が抽出されます。肌の保湿効果だけでなく、不眠やストレス緩和の効果もあり、心を安らげるアロマテラピーとしても使われます。大変高価な香油ですので、通常はごく少量を他の油と混ぜて使われていたようです。

古代のイスラエルでは、娘が生まれるとすぐに、両親がナルドの香油を入手する計画を立てます。娘が将来結婚する時に使うものだからです。ただし、この香油は一般の人の年収に相当するほど高価なものでした(マコ 14:5参照)。両親は年月をかけてお金を貯め、商人に注文します。そしてようやく入手できた香油は、娘の宝となります。家庭の経済状況によって、娘が入手できる年齢はさまざまですが、とにかくナルドの香油は親から娘への最高の贈り物だったのです。また、当時の親たちは、娘がまだ幼いうちに婚約者を探し始めます。多くの場合、結婚式当日まで娘と婚約者はお互いに顔を合わせることがありませんでした。幼い娘たちは、まだ見ぬ婚約者との結婚生活を思い描くというよりは、美しく彫刻された石膏のつぼに入ったナルドの香油のほうに関心があり、心をときめかせていました。両親から贈られた、自分の最も大切な宝物として、友達同士、互いの香油のつぼを自慢しながら育っていったのです。ナルドの香油のつぼには、ふたが付いていないため、結婚式当日、娘はそのつぼを割って塗り、かぐわしい香りを放つ自分を花婿に捧げるのです。それと同時に、この香油は、嫁ぐ娘にとって両親の家を出る寂しさや、新しい生活への不安を和らげるアロマテラピーともなりました。花嫁となる娘の心を優しく包み込んでくれたのです。そしてその香りは花婿にも平安を与えました。

 

最も大切なものを主に捧げたマリア

マルタとマリアも、幼い時、ナルドの香油を両親から受け取っていたと思われます。ナルドの香油は、密封されたつぼの中に1回分の量しか入っていません。マリアはつぼを手に持ち、イエス様の頭の辺りでつぼを石で割りました。イエス様の頭に注がれたその香油は、マリアの手で塗り広げられ、彼女にとってこのことは最高の喜び、かけがえのない宝となりました。

香油を注がれたイエス様が道を歩かれると、人々が集まってきました。「何という良い香りだ!」と驚く人々を見て、マリアは誇らしかったことでしょう。その時、マリアのそばにも人々が集まってきて、尋ねました。「どうしてあなたは、あの方と同じ香りがするのですか」 マリアは自分の捧げたナルドの香油によって、自分自身もイエス様と同じ香りをまとっていたのです。これはマリアには思いがけないことでした。マルコの福音書14章8節でイエス様は言われました。「この女は、自分にできることをしたのです。埋葬の用意にと、わたしのからだに、前もって油を塗ってくれたのです」

イエス様は神ですが、人でもあられました。ナルドの香油の香りは、人となったイエス様に安らぎを与えたことでしょう。イエス様が十字架につけられた日は安息日で、日没前に急いで御体を墓に納めねばなりませんでした。そのため香油を塗る暇はなかったのです。マリアは葬儀のために前もって香油を塗りましたが、それは神様のお導きによる捧げ物でした。恐らくマリアは意識せずに尊い神様の器となって大切な役割を成し遂げたのだろうと思われます。そしてその働きは、「世界中のどこででも、福音が宣べ伝えられる所なら、この人のした事も語られて、この人の記念となるでしょう」(マコ 14:9)とイエス様が言われたとおり、今日に至るまで世界中で語り継がれているのです。

私たちが喜びにあふれて、最も大切なものを主にお捧げするとき、私たちも主の香りを放つ者となります。そして、私たちの想像をはるかに超えた、大事な役目を成し遂げることができるようになります。今は終わりの時代です。世界がざわめいている時代です。主があなたを必要としておられます。主が皆様お一人おひとりに何を求めておられるのか、私たちは祈りながら、聖霊様のお導きを伺いましょう。

*  聖書のみことばは新改訳第三版から引用しています。

 

 

栄子・スティーブンス

1990年から日本人聖書研究会(後のエルサレム日本人教会)で牧会。18年間、イスラエル政府公認ガイド。1996年~2008年、B.F.P.Japan 理事長。オメガ・ミニストリーズ(現 一般社団法人オメガ・ジャパン)設立。現在、アメリカを拠点に聖書教師として活動。

 

 

本文は、『リビングライフ STORY 2020年2月』 (Duranno書院)より、抜粋したものです。

 

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