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2019 ラグビーワールドカップ伝道から2021オリンピック伝道へ
by.CGNTV
hit 348 recomend 120 2020-08-09 06:53:09

2019 ラグビーワールドカップ伝道から2021オリンピック伝道へ

 

 

金子道仁 グッド・サマリタン・チャーチ牧師

 

 

日本におけるスポーツミニストリーの現状

日本においてスポーツミニストリーが展開されるようになったのは、1998年長野オリンピックや2002年サッカーワールドカップ日韓大会など、世界的なスポーツ行事が開催された頃で、そのような機会を生かすために、トラクトを配布したり、有名選手による講演会やクリニックといった伝道が行われていたと承知しています。最近10年であれば、元阪神タイガースのマートン選手やスタンリッジ投手、福岡ソフトバンクのサファテ投手によるクリニックや伝道集会を思い浮かべる方も多いかと思います。

他方で、スポーツ伝道は、このような大きなスポーツイベントの際に行うものであるとか、有名選手の「集客力」に頼った伝道であるという認識、逆に言えば、スポーツが得意な人の少ない「普通の教会」には適さない伝道方法だという認識が強いかもしれません。

2019年ラグビーワールドカップ伝道を振り返って

昨年のラグビーワールドカップでは「One Team」が流行語になりましたが、その後、日本中が「ラグビー・ロス」になるなど、ラグビーワールドカップが熱狂的な2ヶ月間となったことは、皆さんの記憶に新しいと思います。

世界のキリスト教会は、ラグビーワールドカップの際に「Engage」という名前で伝道活動を毎回展開しており、今回の日本開催では「Engage 2019」という名前で海外からの宣教チームと協力して伝道活動が企画されました。しかし、2019年に入った後も、日本国内ではラグビーワールドカップへの盛り上がりはほとんどなく、同様に宣教チームの受け入れ先もなかなか広がらず、信仰が問われる状況が続きました。

そうした中でも、海外からは多大な渡航・滞在費用と数週間の時間を捧げた宣教チームが多数起こされ、日本での宣教への熱い思いが高まっていきました。そして、ラグビーワールドカップの期間中、10ヶ国から78名のラグビー関係のクリスチャン・ボランティアが来日され、60以上の教会や宣教団体が協力して、1万人以上の方々と交わり、1万3千冊の「スポーツバイブル ラグビー版」が配られ、30以上の学校やラグビークラブでクリニックや国際交流、フェスティバルが行われました。いくつかの公立小学校では学校主導で全校生徒にスポーツバイブルが配られたり、市が後援して市役所の隣の中心地にある公園を貸し出してくださってラグビー・フェスティバルが開かれたり、ある大学が主催し地域の他大学のラグビー部を招いて宣教チームのクリニックを開催したりと、私たちはこれまで持てなかった地域社会との新しい関わりを築き、様々な可能性を見出すことができました。北陸のある先生は、「私たちが通常3年かけて作る地域との信頼関係を宣教チームは3日で作ってくださった」と仰っていました。いずれの受入先からも、「教会が提供する国際交流プログラムは質が良い」「こんなに本格的なラグビークリニックとは予想していなかった」「またぜひ来年来てほしい」といった声を頂きました。

2019年にこうした経験を得たことは、続くオリンピック伝道に向けて大きな学びと訓練になりました。海外宣教チームの賜物を十分生かしたスケジュールとプログラムを作成するため、受け入れ教会(地域社会)のニーズと宣教チームの賜物が一致するようなマッチング作業、そして受け入れ教会と宣教チームの十分な調整期間を持つことが重要と考え、現在JiSP(日本国際スポーツパートナーシップ)が調整作業を行っています。

 

2021 オリンピック伝道の可能性

①  「東京オリンピック」でなく、「日本のオリンピック」として

2021年に延期されたオリンピックを、私たちは東京ではなく日本全体の宣教のチャンスととらえ、日本各地で伝道活動を展開したいと考えています。日本中がお祝いの雰囲気になるとき、その中心に教会が出て行き、イエス様の愛を表し伝えることで、地域社会との新しいつながりが生まれます。そして、この信頼関係がレガシー(遺産)として地域教会に残され、次の伝道活動につながっていくことを期待します。

②  それぞれの街や教会の特性に応じて

皆さんの街で盛んなスポーツは何ですか。そのスポーツをターゲットとして、スポーツクリニックや教会での観戦プログラムを開くことができます。障害のある方々をターゲットにして、障がい者スポーツやフェスティバルを開催するのも良いでしょう。公立学校に勤務する教会員がおられるなら、学校での国際交流授業の提案や部活動でのクリニック開催もできるでしょう。それぞれの教会の強み、既にある地域とのパイプを用いて、地域社会との信頼関係を広げていくことになると思います。

 

金子道仁

東京大学法学部卒業。元外交官。現在、グッド・サマリタン・チャーチ(兵庫県)牧師。2000年4月より教会付属 光の子どもクリスチャンスクール副校長。社会福祉法人グッド・サマリタン理事長。

 

本文は、『リビングライフ STORY 2020年8月』 (Duranno書院)より、抜粋したものです。

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