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LGBTを考えるために~向き合いたい三つのこと
by.CGNTV
hit 2638 recomend 73 2021-05-11 09:00:07

LGBTを考えるために~向き合いたい三つのこと

 

 

水谷 潔 春日井聖書教会 協力牧師

 

 

20年ほど前から、同性愛傾向に葛藤を覚えるクリスチャンや関係者から相談を受けてきた者として、私見を記します。今回は、同性愛を考えるときに、向き合っていただきたい三つのことを、ご提案いたします。

 

信:聖書に向き合う

まず、確認したいことがあります。聖書が言及しているのは、厳密にいえば「同性愛」ではなく「同性愛行為」、言い換えるなら「同性間の性的結合」です。ですから、「傾向」と「行為」は分けられるべきです。同性愛傾向を持つだけの方が、断罪的な言葉を受けて教会を去っていくようなことは、本来、あってはならないことでしょう。

では、同性間の性的結合はどうでしょう。創世記1、2章によれば、神様は人を男と女に創造し、結婚関係において異性間での性的結合を定められました。神様の秩序からの逸脱という意味において、同性間の性的結合は、結婚外の性関係と同様、御心ではないと言えるでしょう。また、紙面の都合上、詳細な考察は割愛しますが、他の聖書箇所でも、一読する限りは、同性愛行為は否定的に記されています。

一方で、同性愛行為を他の罪とは別格のものと考えるのは聖書的ではありません。聖書は多くの場合、同性愛行為を他の罪と同列で記しています。ソドムが滅んだのは、同性愛行為が原因でしょうか。創世記19章以外でソドムに言及している聖書箇所を読めば他の罪も原因だとわかります。また、レビ記20章13節では、男性間の同性愛行為は死刑に値すると記されていますが、前後を見ると他の性的罪、あるいは性的でない罪も死刑相当です。さらに、ローマ人への手紙1章でパウロは「同性愛行為を行う者は滅びる」ではなく「滅びに向かう者は結果として同性愛行為に至る」という趣旨を記しています。もしかすると、原因と結果を取り違えて読んではいないでしょうか。そして、1章29節以降には、やはり同性愛行為と並列して、一般的な罪がリストアップされています。

どうでしょう。同性愛行為を特別に邪悪な罪と考え、結婚前に性関係を持つ求道者はOKで、LGBTはNGとするような思いはないでしょうか。「聖書的だと信じてきたこと」は「聖書が記していること」でしょうか。一度、思い込みをわきに置いて、聖書に向き合っていただければと願います。

 

知:事実に向き合う

もし自分が通っている教会にLGBTの方はいないと決めつけるなら、それは偏見に基づいた事実誤認かもしれません。一定の確率で、教会の中にもLGBTの方はいらっしゃいます。私が相談を受けてきた当事者の多くはクリスチャンホームで育ってきた方です。どうかその「見えざる事実」「知られざる苦悩」を想像してみてください。

典型的な事例を紹介しましょう。LGBTの傾向を自覚する中高生は、親にも指導者にも打ち明けられぬ一方「同性愛は罪」と聞きながら育ちます。本当の自分は受け入れらないと考え、自死を考えます。うつ病を発症します。教会を去り、ゲイコミュニティーに集う青年もいます。親も指導者も、この現実に気が付きません。親友だけが知っています。これが現実です。自分の家族や教会の仲間がそうだったらと考えてみることをお勧めします。

愛:当事者に向き合う

イエス様は遊女など、性的罪人を受け入れられました。LGBTの方々が人間としての尊厳を持ち、愛すべき隣人であることを忘れてはなりません。残念なことに、キリスト教会は、長い歴史において聖書を根拠に差別をしてきました。ユダヤ人差別、黒人奴隷の正当化、ハンセン病差別、アパルトヘイトなどは、その代表例でしょう。そうした過去への真摯な悔い改めをもって、LGBTについて考えたいものです。

今、日本の教会でも、LGBTの新来会者、教会員のカミングアウトが増えています。ヨハネの9章において、弟子たちは生まれつき目の見えない方を前に議論しましたが、イエス様はその方に語り掛け、愛を注ぎました。私たちもLGBT当事者を前に、弟子のように議論するのか、イエス様のように愛するかが問われます。

私自身は、聖書を基準に同性愛行為を罪だと判断していますが、その判断は、差別や排除ではなく、愛と受容に向かってこそ、聖書的だと考えています。聖書的価値転換や愛の実践は、決して容易ではありませんが、LGBTは、この時代にあって、日本の教会が取り組むべき課題の一つでしょう。そのために、三つのものに向き合うことが、神様が望まれる信と知と愛を獲得する一助になればと願っています。

 

*  LBGTとは:レズピアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを代表とする性的少数者の総称。

 

 

水谷潔

1961年生まれ。小さないのちを守る会 元代表。

春日井聖書教会 協力牧師。

キリスト教性教育研究会 会長。

「世の光・ジェネレーションX」ラジオパーソナリティ。

 

本文は、『リビングライフ STORY 2021年5月』 (Duranno書院)より、抜粋したものです。

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