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[教育コラム]子どもの虐待と少年非行
by.CGNTV
hit 300 recomend 115 2021-05-25 15:19:59

[教育コラム]子どもの虐待と少年非行

 

 

坪井節子 弁護士(日本CGNTV放送番組より)

 

 

弟子たちが「だれが一番偉いか」と話しているのを聞かれたイエス様は、一人の子どもをそばに連れて来て、「だれでも、このような子どもを、わたしの名のゆえに受け入れる人は、わたしを受け入れるのです。また、だれでもわたしを受け入れる人は、わたしを遣わされた方を受け入れるのです。あなたがた皆の中で一番小さい者が、一番偉いのです」(ルカ 9:48)と言われました。私たちの社会の中で、最も小さい者は、傷ついた子どもたちです。今日はその中でも、罪を犯して世の中から見捨てられようとしている子どもたちの話をしたいと思います。その子どもたちを受け入れることこそ、イエス様が望んでおられることだと思うのです。

私は弁護士として、非行に走った子どもたちの付添人という仕事をしています。逮捕されて裁判を受ける過程で子どもたちに寄り添い、裁判の過程を一緒に歩いていく仕事です。そのような働きをしている中で出会った、16歳の女の子の話をしたいと思います。

彼女は覚醒剤取締法違反で逮捕されました。私が彼女に初めて会ったとき、「どうして覚醒剤を使ったの?」と聞くと、彼女は「見たくないことが、たくさんあったから」と答えました。「見たくないことって何?」と聞くと、それに対してはなかなか答えが出てきませんでした。それから何度も彼女に面会に行き、少しずつ彼女がどんな人生を送ってきたかを知りました。彼女は小さい時から両親の夫婦げんかに巻き込まれ、父親から殴られたり、母親からののしられたりしながら育ってきました。

小学校5年生のとき、父親に殴られ、夜の街に飛び出したそうです。どこにも行くあてがない彼女は、地域にたむろしている不良グループに入って行きました。そこで先輩が「これを吸えば忘れられるよ」と勧めてくれたのがシンナーでした。「何もかも忘れたかったの。だからシンナー吸ったの」と彼女は言いました。私は、「だれがこの子を責められるだろうか」と思いました。しかし、世の中では、そのような子どもは悪い子だとみなされます。彼女は結局警察に補導され、家に連れ戻されたそうです。すると、父親には殴られ、母親には「おまえみたいな悪い子は死んじまいな。あんたなんか生まれてこなければよかった」とののしられました。彼女は「私なんか生まれてこなければよかったと思ったら、生きてたって死んだって、どっちだっていいんだ」と思うようになり、怖いものがなくなったそうです。そして、中学に入る頃には、「悪い事はなんでもしてやろう」と思うようになり、学校に行って授業妨害をし、授業もエスケープし、たばこを吸い、暴走族に入り、リンチをやったりやられたりしました。それから何度も家出を繰り返すうちに、結局ヤクザに拾われ、覚醒剤を打たれ、売春させられ、16歳という歳でボロボロになっていました。

私は彼女に、やっとのことで「自分が生まれてきたことをだれも喜んでいないと思っているでしょう。でも、あなたの目の前に座っている私は、あなたに生きてほしいって願っているからね」と言うことができました。それから少しずつ彼女と心が通い合うようになりました。彼女ともたくさんけんかをして「おまえなんか、もう帰れ」と怒鳴りつけられました。お母さんもお父さんも引き取ってくれず、「少年院に行ったら極道になるから」と言われました。しかし、最後の審判の前日、彼女は「先生、少年院に行ってくるから。いい子になって帰ってくるからね」と言ってくれたんです。人間の力を超えた何かが働いたとしか思えない瞬間でした。「神様、ありがとうございました」と心の底から思いました。その時は何が起こっていたのか分かりませんでしたが、彼女は私を試していたのです。彼女は少年院に行き、がんばって1年後に戻って来ました。しかし、帰る家も働く所もありませんでした。それでも彼女は、私にSOSを出しながら四苦八苦しつつ成長しました。今では4人の子どもたちの母親になっています。

彼女が言っていました。「この間、近くの公園に中学生の男の子が来て、シンナー吸ってたんだよ。だから、そのシンナーを取り上げて、『シンナーなんか吸うんじゃないよ。お腹空いてるんだろ。うちに来てご飯食べな』ってうちでご飯食べさせてるんだよ。私は坪井先生や少年院の先生に出会って、人間ってどんなものか教えてもらったんだよ。だから、だんだん人間らしくなったんだ。今は私と同じように苦しんでいる子どもに、できることはしてあげたいと思うんだよ」 あんなに苦しんでいた彼女が、今や私にもできないことをしながら、この世の役に立とうとしています。

私たちにできることは、本当にちっぽけです。しかし、自分たちの無力を知りながらも、ともに歩み続けてあげてください。そうすることによって、子どもたちは必ず立ち直り、私たちの希望の光になっていくでしょう。非行少年を見るとき、その子たちがどんなに苦しい人生を歩んできたかに思いを馳せ、受け入れる、そのようなまなざしをかけてあげていただきたいと思います。

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