人の権威か？神の権威か？ - 日本CGNTV :: 世界のための福音の通路

約200年にわたり、進化論の教えは聖書の権威に挑み続けています。進化論は、創造主の存在とその介入を否定する世界観で、人々を無神論と唯物論に導きます。たとえば、地学の教科書に「神が天と地を創造した」（創 1:1）と書かれることはなく（無神論）、生物学の授業で「人の中には確かに霊がある」（ヨブ 32:8）と教えられることもありません（唯物論）。そのため、科学者のことばが人類の知恵の最高権威のように感じてしまうのです（科学主義）。私自身、そのような教育を受けたため、聖書的創造に対する圧倒的な科学的証拠を知るまでは、頭では天地創造をそのまま信じていても、感覚的には自分が非科学的で知的でないように感じていました。

しかし、私たちが知っておくべきことは、科学は進化論を証明することができないということです。科学では、観察と実験を通してしか物事を確かめることができません。ですから、進化論を信じている科学者も、進化論が証明できないことはよく分かっています。しかし、科学に何ができるかということをよく知らない人は、「進化論は、科学で証明された揺るぎない事実だ」と信じ込んでしまうのです。

進化論の年代測定法として知られている「放射性年代測定法」には、様々な矛盾や問題があること、地球が進化論の想定よりもずっと若いことを示唆する証拠があることは、あまり知られていません。１例を挙げると、現在、地球磁場の強さは約100年で５%減退しています。計算してみると、１万年以上も昔は磁場が強すぎて生物が生息できない環境になってしまいます。聖書から算出できる地球の年齢は約６千年で、そうであれば磁場の問題はありません。また、パスツールの実験によって、生物は自然発生しないことが明らかになりました。しかし、進化論は生物が自然発生できると信じるため、実証できる生物学に矛盾します。聖書に示されるように、創造主が生物を造ったなら、生物学の実証に一致するのです。

進化論は、無神論者による「なぜ生物が存在するのか」の説明です。しかし進化論を信じる科学者のことばを最高権威のように信じてしまうと、たとえ聖書を信じていても「進化論に合わせて聖書を理解しなければ、時代遅れで非科学的である」と感じてしまうのです。このように、進化論の枠組みに聖書の枠組みが矛盾しないように再解釈しようとする立場を「有神進化論」と呼びます。しかし、無神論の土台の上に有神論を据えること自体が矛盾しているため、聖書の中心的な教理が多かれ少なかれ削られるしかありません。有神進化論に確信をもっている人は、「科学が進化論を証明したのだから、聖書を読むときは、進化論の枠組みで読むべきである」とか、「たとえ聖書の中心的な教理が失われるとしても、進化論と一貫性を保つように聖書を再解釈するべきである」と考えてしまうのです。

有神進化論には、「創造主は進化を用いて世界を造った」というものから「創造主は進化論の時間に合わせて世界を造った」というものまで、様々な説があります。それらのいずれの説も、創造された世界が「非常に良かった」（創 1:31）ことを否定しています。進化論の歴史を受け入れることで、生物の死や病気などがアダムの罪と関係なく最初から存在していたことになるからです。

パウロは「被造物が虚無に服したのが自分の意志ではなく、服従させた方による」（ロマ 8:20）と述べ、これがアダムの罪の結果であることを示唆しています。また、「ひとりの人によって罪が世界に入り、罪によって死が入り、こうして死が全人類に広がったのと同様に、―― それというのも全人類が罪を犯したからです」（ロマ 5:12）と言い、私たちが救われなければならない理由は、アダムが罪を犯したためだと言っています。有神進化論を信じるなら、最初から死が存在していることを認め、それが非常に良かったということになるので、キリストが十字架にかからなければならない理由が失われます。

以上のことから、有神進化論は無神論の立場で聖書を信じようとすることです。また、聖書の権威よりも人の権威を上に置くことです。そして、人に救いが必要なわけではないと教えることです。私たちは、自分の知恵や知識や感情を優先して聖書のことばを否定するのではなく、創造主のことばである聖書の権威を認め、そのまま信じようではありませんか。

宇佐神実

創恵聖書教会茨城チャペル牧師、ジェネシスジャパン会長。全アジア創造協会コアメンバー。JTJ宣教神学校講師。クリスチャン・ヘリテイジ・カレッジ（現サンディエゴ・クリスチャン・カレッジ）聖書学部卒業、カリフォルニア大学バークレー校文理学部卒業。

本文は、『リビングライフ STORY 2021年9月』（Duranno書院）より、抜粋したものです。

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