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人づくりの団体として
by.CGNTV
hit 333 recomend 166 2019-10-07 16:53:02

人づくりの団体として

 

 

日本国際飢餓対策機構(ハンガーゼロ)理事長 清家弘久

 

 

私たちは心と体の二つの飢えに応える団体として、1981年以来、世界各地で飢餓(ハンガー)をなくす(ゼロ)活動を行ってきました。これはひとえに日本の多くのキリスト教会、そこに連なる人々の祈りと捧げ物があったからこそ継続した活動がなされたと感謝しています。

2012年、ある方から日本に住むアフリカ人ジェローム・カセバを紹介されました。彼はコンゴ人で、ICU(国際基督教大学)で学び、日本国籍も取得していますが、ICUで学んだ奥さんは先に帰国していました。二人とも親は牧師で、コンゴで牧会しているそうです。コンゴは内戦状態が続いているため、国連が作っているハンガーマップではデータ不足の国として挙げられ、食料問題や教育問題が深刻な国です。私たちはぜひ関わりを持ちたいと考え、ジェロームを私たちのスタッフに迎えました。

2013年、彼の案内でコンゴに行きました。ジェロームの奥さんの父、シンビ牧師や他の教会の先生方の案内で、コンゴ第2の町、ルブンバシのいろいろな教会が行っている社会福祉活動を見て回りました。孤児院、障がい者施設、ストリートチルドレンの保護施設、寡婦の自立支援施設等でした。施設自体は立派ではありませんでしたが、所内にいる人たちが安心して暮らしている様子がよくわかりました。

その日の夕方、案内してくださった先生方に「先生方が案内してくださった施設はどこの支援によって運営されているのでしょうか」と聞いてみると、そのほとんどがカトリック教会の支援によることがわかりました。私は、プロテスタントの現地の教会が地域の必要性にほとんど応えていないことに気づかされました。明日、案内をしてくださる所で何か提案をしてみてほしいと、リクエストを出しました。

次の日、私たちが向かったのは、ルブンバシ市内でひっそり暮らしている国内避難民の集落でした。話を聞くと、彼らはここから450キロ北にある村で暮らしていましたが、ある日突然、他部族の侵入者が現れ、農地を奪うためにそこを焼き払い、村人が次々と殺されたそうです。彼らは何とか生き残って必死で逃げ、ようやく遠く離れたこの町にやって来たのだと話してくれました。彼らが避難している住居の環境は劣悪で、狭い場所に百数十名が寝泊まりし、近くの住民と水や食べ物のことで度々問題になっているとのことでした。私は目で合図し、今こそ地元の教会が彼らに手を差し伸べてくださるようお願いしました。すると、リーダーのシンビ牧師が立ち上がり、「明日の礼拝にお越しください。教会は皆さんを何とか支援します」と語ってくださいました。

翌日、シンビ牧師が牧会する教会の礼拝に3名の避難民リーダーが集いました。その中にパメラさんがいました。牧師が教会のメンバーに「自分たちが住む地域に本当に困っている人がいる。今こそキリストの愛を実現していきましょう」と呼びかけると、人々が献金を始めました。それを見ていたパメラさんはマイクをとってお礼を言い、自分たちが受けた傷を語り、彼自身も前々日まで絶望感から自死を考えていたと告白しました。そして、「こんな見ず知らずの私たちのために親切にしてくださった教会の皆さんの姿を見て、本当に神様はここにおられると確信しました。私もきょう神様を信じます」と信仰告白をされたのです。教会の人全員が涙を流しておられました。通訳をしてくれていたジェロームも途中から泣いて、全く通訳ができませんでしたが、神様の素晴らしい御業が教会を取り巻いていました。

そこから奇跡が続きました。パメラさんは離れ離れになっていた奥さんと子どもを捜しに、もといた自分の村近くまで行き、親戚の家で生き延びていた奥さんと子どもたちを見つけ、再会を果たすことができました。そこから10キロ北上したプエトという地域で自分たちの村作りを始めようとしましたが、土地を無償で貸与してくれる方が現れて、トウモロコシや豆類を育て始めました。それから避難民として一緒に逃げていた仲間たちのところに帰り、自分たちの新しい村作りをしないかと呼びかけ、避難民だった仲間を新しい自分たちの村に連れて来ることができました。

今、村作りが始まって4年経ちました。周りの2つの村も仲間に加わり、農業や畜産業、学校作りが始まっています。パメラさんは毎週金曜日にプエトの通りに立ってイエス様の素晴らしさを語っています。そして、それを聞いた人たちが仲間に加わり、神様を中心としたコミュニティを地元の教会と一緒に行っています。

「人づくり」VOC(Vision of Community)は単なるお題目ではなく、神様に変えられた人々によって着実に実りを生み出しています。きょうもハンガーゼロは「みこころが天で行われるように、この地でも行われますように」と願い、世界各地で活動しています。

 

 

清家弘久

1984年大阪経済大学卒業。1993年より一般財団法人 日本国際飢餓対策機構(JIFH)の国際協力隊総主事として働く。2010年より日本国際飢餓対策機構 常務理事、2017年より理事長を務める。

 

本文は、『リビングライフ STORY 2019年9月』 (Duranno書院)より、抜粋したものです。

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