世界宣教、新しい発見！

大川従道　大和カルバリーチャペル 主任牧師

「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ」（マコ 16:15）というみことばは、私たちキリスト者への主からの命令です。

13歳で救われ、献身した者として、寝ても覚めても心にひっかかるみことばでした。しかし、私には語学力もないし、牧会に全力を注いでいたら、全世界は不可能と自分に言いきかせてきました。それでもみことばに触れる度に、やがて主の前に立ったとき、どのように弁解したらよいだろうかと考えていました。

しかし、しかしです。新宿の大久保通りを歩いていたら、数えきれないほどの外国人の姿に出会って圧倒されたのです。中にはイスラムの方々のベール姿も多く見えます。だれが、この人々に福音を伝えるのか、主の悲しいお声とともに、福音宣教に命を懸けてきた者として、涙があふれてきました。

泣きながら道を歩きました。何年も前に、アメリカの牧師の中の牧師といわれる、ジャック・ヘイフォード先生が、JR新宿駅のプラットホームで、超満員の電車の様子を見て涙を流されたといいます。そんなことを思い出すと、私も心が痛み、歩けないほどの思いになりました。

家に帰って、新宿区役所に電話を入れました。「外国から移住されている人々は何人くらいですか」 また、できるかぎりの情報を入手できるように調べてみました。

日本の国は、いまや、何百万人、何千万人の人口減少が起こりつつあります。外国人労働者の力を借りないと、労働力不足で、老人介護も不可能で、絶対的に協力者が必要であることが分かりました。すなわち、外国に出て行かなくても、外国から日本に何千万という人々が入って来るのです。いや、すでに入って来ておられることが分かりました。

区役所の担当員によって、せっかく日本にやって来ても、日本語が分からないため苦労している人々が大勢いることを知りました。なんと、129ヶ国の人々が入国しているそうです。親が3Ｋ（きつい、危険、きたない）の仕事をして、子どもたちは無償化の学校へ通学しても、日本語ができないためにイジメられたりバカにされたりして、不登校の生徒が何万人もいるといいます。そういう子どもたちが不良化して、犯罪の温床になるのです。

福音を一度も耳にしたことがない人々が苦しみ悲しんでいるという現実を知って、心が熱くなりました。マザーテレサは「最も恐ろしい罪は、無関心である！」と言っています。

こちらから外国へ出て行かなくても、世界宣教命令を実践することができます。日本にいながら、世界中から幸せを求めて日本に来られる方々に接触し、親切にすることを通して、福音のすばらしさを手渡しできます。ハレルヤ！ チャンス到来！ 主よ、感謝します。日本のキリスト教史に、初めてのことが、今、私たちの周りで起こっています。

私は、一念発起して、立ち向かうことにしました。今、77歳の老青年ですが、宣教に対する情熱は、だれにも負けないつもりです。

パウロは「わたしは、あなたがたに会うことを熱望している。あなたがたに霊の賜物を幾分でも分け与えて、力づけたいからである」（ロマ 1:11）と語っていますが、ここでインパート（分け与える）ということばが使われています。名詞にするとインパーテーションです。昨年12月3日より、新宿にある古民家をギリシャ風の建物に改装し、「一般社団法人インパーテーション」「エンジェルハウス Joy Joy Joy」をスタートさせました。早速、バングラディシュとネパールの方々が、子どもを託しに来られました。ハレルヤ！ アーメン！

繰り返します。「日本にいて、世界宣教ができます！」 このチャンスは終戦直後のリバイバル現象に勝るものになります。目を上げて畑を見ましょう。あわてずに、熱い心をもって、収穫の主に祈り続けましょう。実に楽しい季節がやって来ました。主に感謝です。

この話には裏があります。ハ・ヨンジョ師の召天される1年ほど前のこと、新宿の淀橋教会で「宣教大会」がなされました。説教をされたハ・ヨンジョ師は、牧師たちの前で熱烈なアピールをされました。

「皆さんの中で、主任牧師の方はご起立ください。日本の教会は、出て行って福音宣教をしなければ腐ってしまい、命を失います。副牧師や若い伝道者が出て行かなければ、ベテランの主任牧師が開拓に出るべきです。本気で福音宣教に生きたい人は、手を挙げてください！」 私は主からの召しと信じ、思い切り真っ直ぐに手を挙げました。私はこの1月で78歳ですが、天に召されるまで、命懸けで救霊戦に臨みます！ Enjoy the great adventure！

本文は、『リビングライフ STORY 2020年3月』　（Duranno書院）より、抜粋したものです。